【G検定|理解型予想問題】期待値・分散・標準偏差はなぜ混同する?

G検定では、期待値、分散、標準偏差の意味や関係が問われることがあります。
3つともデータや確率分布の特徴を表す指標ですが、見ているものは異なります。
期待値は「平均的にどの値になるか」、分散は「平均からどのくらい散らばっているか」、標準偏差は「ばらつきを元のデータと同じ単位で表したもの」です。
この記事では、期待値、分散、標準偏差を混同しないための見分け方を、全10問の理解型予想問題で整理します。
期待値・分散・標準偏差とは?
最初に、3つの用語の違いを確認します。
| 用語 | 一言でいうと | 見るもの |
|---|---|---|
| 期待値 | 確率を考慮した平均的な値 | どの値になりそうか |
| 分散 | 平均からのばらつきを二乗して平均した値 | どのくらい散らばっているか |
| 標準偏差 | 分散の平方根 | 元の単位で見たばらつき |
期待値・分散・標準偏差はなぜ混同する?
期待値、分散、標準偏差が混同されやすいのは、3つが別々の指標ではなく、順番につながっているためです。
期待値を基準としてデータのズレを求め、そのズレから分散を計算し、分散の平方根を取ると標準偏差になります。
| 混同しやすい理由 | 実際の違い | 見分ける言葉 |
|---|---|---|
| すべて同じデータや確率分布から求める | 中心を見るか、ばらつきを見るかが異なる | 平均的な値/散らばり |
| 分散と標準偏差はどちらもばらつきを表す | 分散は二乗した単位、標準偏差は元の単位 | 平方根/元の単位 |
| 期待値が分散の計算にも使われる | 期待値は中心、分散は中心からのズレ | 中心/ズレ |
試験では、次のように見分けます。
問題①
ある確率変数の期待値について、最も適切な説明はどれか?
- A. 最も起こりやすい値
- B. 確率を考慮した平均的な値
- C. 値の最大値と最小値の差
- D. 平均からのばらつきの大きさ
- 正解・解説(クリックで開きます)
-
正解
B
解説

期待値は、それぞれの値に、その値が起こる確率を掛けて合計したものです。
例えば、次のようなくじがあるとします。- 1,000円を受け取る確率:20%
- 何も受け取らない確率:80%
期待値は、次のように求めます。
1,000円 × 0.2 + 0円 × 0.8 = 200円
期待値は、1回くじを引けば必ず200円を受け取れるという意味ではありません。
同じくじを何度も繰り返したとき、1回あたりの結果が平均的に200円へ近づくという意味です。確率を考慮した平均的な値→期待値平均からのばらつき→分散元の単位で表したばらつき→標準偏差期待値は、最も起こりやすい値ではなく、確率を考慮した平均的な値です。
問題②
あるゲームでは、次の確率で得点を獲得できる。
- 10点を獲得する確率:30%
- 0点になる確率:70%
このゲームの期待値として、最も適切なものはどれか?
- A. 0点
- B. 3点
- C. 7点
- D. 10点
- 正解・解説(クリックで開きます)
-
正解
B
解説

期待値は、それぞれの値に確率を掛けて合計します。
10点 × 0.3 + 0点 × 0.7 = 3点
したがって、期待値は3点です。
10点を獲得する確率より、0点になる確率の方が高いため、実際の1回の結果は0点になる可能性が高いと考えられます。
しかし、ゲームを何度も繰り返した場合、1回あたりの平均得点は3点に近づきます。得点 確率 得点×確率 10点 0.3 3点 0点 0.7 0点 期待値は、値を単純に平均するのではなく、確率を重みとして計算します。
問題③
分散について、最も適切な説明はどれか?
- A. データの合計
- B. 最も頻繁に現れる値
- C. 平均や期待値からのばらつき
- D. 確率が最も高い値
- 正解・解説(クリックで開きます)
-
正解
C
解説

分散は、データが平均や期待値の周りにどのくらい散らばっているかを表す指標です。
分散が小さい場合、データは平均の近くに集まっています。
分散が大きい場合、データは平均から離れた位置まで広がっています。分散 データの状態 小さい 平均の近くに集まっている 大きい 平均から広く散らばっている 期待値が「中心」を表すのに対し、分散は「中心からの広がり」を表します。
問題④

確率変数Xが、次の値を同じ確率で取るものとする。
- X = 0
- X = 2
この確率変数の期待値は1である。
分散として、最も適切なものはどれか?
- A. 0
- B. 1
- C. 2
- D. 4
- 正解・解説(クリックで開きます)
-
正解
B
解説
最初に、それぞれの値が期待値1からどのくらい離れているかを求めます。
- 0−1=−1
- 2−1=1
次に、ズレを二乗します。
- (−1)²=1
- 1²=1
2つの値は同じ確率で起こるため、二乗したズレの平均は次のようになります。
(1+1)÷ 2 = 1
したがって、分散は1です。期待値を求める↓それぞれの値から期待値を引く↓ズレを二乗する↓二乗したズレを平均する↓分散分散は、期待値からのズレをそのまま平均するのではなく、二乗してから平均します。
問題⑤
分散が9であるデータの標準偏差として、最も適切なものはどれか?
- A. 3
- B. 9
- C. 18
- D. 81
- 正解・解説(クリックで開きます)
-
正解
A
解説

標準偏差は、分散の平方根です。
分散が9の場合、標準偏差は次のようになります。√9 = 3
したがって、正解は3です。分散↓平方根を取る↓標準偏差反対に、標準偏差を二乗すると分散になります。
計算 求められるもの 分散の平方根 標準偏差 標準偏差の二乗 分散
問題⑥
次の2つのデータについて考える。
データA : 5、5、5、5
データB : 2、4、6、8
どちらも平均は5である。
分散が大きいデータとして、最も適切なものはどれか?
- A. データA
- B. データB
- C. どちらも同じ
- D. 平均だけでは必ずデータAになる
- 正解・解説(クリックで開きます)
-
正解
B
解説

データAは、すべての値が平均5と同じです。
そのため、平均からのズレはすべて0となり、分散も0です。
一方、データBは平均が5であっても、2から8まで値が散らばっています。
そのため、データBの方が分散は大きくなります。
データ 平均 ばらつき 5、5、5、5 5 小さい 2、4、6、8 5 大きい 平均や期待値が同じでも、分散や標準偏差が同じになるとは限りません。
中心が同じ≠ばらつきも同じ
問題⑦
身長をcmで記録したデータについて、分散と標準偏差の単位の組み合わせとして、最も適切なものはどれか?
- A. 分散はcm、標準偏差もcm
- B. 分散はcm²、標準偏差はcm
- C. 分散はcm、標準偏差はcm²
- D. 分散にも標準偏差にも単位はない
- 正解・解説(クリックで開きます)
-
正解
B
解説

分散は、平均からのズレを二乗して計算します。
身長の単位がcmであれば、ズレを二乗した分散の単位はcm²になります。
一方、標準偏差は分散の平方根です。
平方根を取ることで、標準偏差の単位は元のデータと同じcmに戻ります。
指標 計算 身長データでの単位 分散 ズレを二乗して平均 cm² 標準偏差 分散の平方根 cm 標準偏差は元のデータと同じ単位になるため、実際のばらつきを感覚的に理解しやすいという特徴があります。
問題⑧
分散を求めるとき、平均からのズレを二乗する主な理由として、最も適切なものはどれか?
- A. すべての値を1より大きくするため
- B. 正と負のズレが打ち消し合うことを防ぐため
- C. 平均を必ず0にするため
- D. データの個数を減らすため
- 正解・解説(クリックで開きます)
-
正解
B
解説

平均より小さい値では、平均からのズレが負になります。
平均より大きい値では、平均からのズレが正になります。
ズレをそのまま合計すると、正と負が打ち消し合い、合計が0になることがあります。値 平均からのズレ ズレの二乗 平均より小さい値 負の値 正の値 平均より大きい値 正の値 正の値 ズレを二乗すれば、すべて正の値として扱えるため、ばらつきの大きさを計算できます。
また、大きなズレほど二乗後の値が大きくなるため、平均から大きく離れた値の影響も反映されます。
問題⑨
あるデータのすべての値に10を足した。
このとき、期待値、分散、標準偏差の変化として、最も適切なものはどれか?
- A. 期待値だけが10増え、分散と標準偏差は変わらない
- B. 期待値、分散、標準偏差がすべて10増える
- C. 分散だけが10増える
- D. 標準偏差だけが10増える
- 正解・解説(クリックで開きます)
-
正解
A
解説

すべての値に10を足すと、データ全体の位置が10だけ移動します。
そのため、期待値や平均も10増えます。
しかし、値同士の間隔や、平均からのズレは変わりません。
したがって、分散と標準偏差は変化しません。
すべての値に10を足す↓データ全体が同じ幅だけ移動する↓期待値は10増える↓値の散らばり方は変わらない↓分散・標準偏差は変わらない期待値はデータの位置を表し、分散と標準偏差はデータの広がりを表すと考えると整理しやすくなります。
問題⑩
期待値、分散、標準偏差の説明として、最も適切な組み合わせはどれか。
- A. 期待値はばらつき、分散は最頻値、標準偏差は中央値を表す
- B. 期待値は確率を考慮した平均、分散は平均からのばらつき、標準偏差は分散の平方根である
- C. 期待値と分散は必ず同じ値になり、標準偏差はその2倍である
- D. 期待値は最大値、分散は最小値、標準偏差は合計値を表す
- 正解・解説(クリックで開きます)
-
正解
B
解説

期待値、分散、標準偏差は、次のように整理します。
用語 意味 見分ける言葉 期待値 確率を考慮した平均的な値 平均的な結果/長期的な平均 分散 平均や期待値からのズレを二乗して平均した値 ばらつき/散らばり 標準偏差 分散の平方根 元の単位/平方根 問題文に「平均的にどの値になるか」とあれば、期待値を考えます。
「平均からどのくらい散らばっているか」とあれば、分散を考えます。
「元のデータと同じ単位でばらつきを表す」とあれば、標準偏差を考えます。
期待値・分散・標準偏差を混同しないための整理
3つの用語は、中心とばらつきのどちらを見ているかで整理できます。
| 確認したいこと | 使う指標 | ポイント |
|---|---|---|
| 平均的にどの値になるか | 期待値 | 値×確率を合計する |
| 平均からどのくらい散らばっているか | 分散 | ズレを二乗して平均する |
| 元の単位でどのくらい散らばっているか | 標準偏差 | 分散の平方根を求める |
G検定で押さえたいポイント
期待値、分散、標準偏差について、試験前に次のポイントを確認しておきましょう。
- 期待値は、値に確率を掛けて合計した平均的な値
- 期待値は、1回の結果を保証する値ではない
- 分散は、平均や期待値からのズレを二乗して平均した値
- 分散が大きいほど、データは広く散らばっている
- 標準偏差は、分散の平方根
- 分散は元の単位を二乗した単位になる
- 標準偏差は元のデータと同じ単位になる
- 平均や期待値が同じでも、分散や標準偏差が同じとは限らない
- すべての値に同じ数を足しても、分散と標準偏差は変わらない
まとめ

期待値、分散、標準偏差は、すべてデータや確率分布の特徴を表しますが、見ているものが異なります。
期待値は、確率を考慮した平均的な値です。
分散は、期待値や平均からどのくらい散らばっているかを表します。
標準偏差は分散の平方根であり、元のデータと同じ単位でばらつきを表します。
| 用語 | 見るもの | 覚え方 |
|---|---|---|
| 期待値 | 平均的な結果 | 値×確率 |
| 分散 | 平均からのばらつき | ズレの二乗の平均 |
| 標準偏差 | 元の単位でのばらつき | 分散の平方根 |
最後に、3つの見分け方を確認します。
この3つをセットで整理しておくと、計算問題だけでなく、用語の意味を問う問題にも対応しやすくなります。
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